ビジネスローンは経費にできる?勘定科目・仕訳から税務調査対策まで解説

更新日:2026年7月14日

決算期が近づき、ビジネスローンの会計処理に頭を悩ませていませんか。「利息は経費になるの?」「元金はどう扱えばいい?」と疑問を持つ経営者は少なくありません。結論として、利息・保証料・手数料は経費に計上でき、元金返済は経費になりません。この記事では勘定科目の選び方から仕訳例、会計ソフトの入力手順、税務調査への備えまで順番に解説していきます。

ビジネスローンの経費処理は自分でできる?実務の全体像を解説

ビジネスローンの返済のうち、利息部分は「支払利息」として経費に計上できます。一方、元金返済は借入金の返済であり経費にはなりません。さらに保証料・手数料・印紙代といった諸費用も経費として計上可能です。

本章では、経費にできる項目・できない項目の一覧と、経費処理を始める前に揃えておくべき必要書類について解説します。

ビジネスローンの経費にできるもの・できないものの一覧

ビジネスローンの返済額すべてが経費になるわけではありません。経費にできる項目とできない項目を以下の表で整理します。

項目経費計上勘定科目補足
支払利息できる支払利息毎月の返済額から元金を差し引いた部分
保証料できる支払手数料(または長期前払費用)保証期間が1年超の場合は按分が必要
事務手数料できる支払手数料契約時に一括で経費処理
印紙代できる租税公課契約書貼付分を契約時に経費処理
繰上返済手数料できる支払手数料繰上返済実行時に経費処理
元金返済できない長期借入金/短期借入金負債の返済であり費用ではない

元金が経費にならない理由はシンプルです。借入時に「普通預金(資産)」と「借入金(負債)」が同額で増えており、返済は負債を減らす行為に過ぎません。損益には影響しないため、経費としては認められないのです。

個人事業主で事業用とプライベート用の借入が混在している場合は、事業使用割合に応じた按分処理が求められます。事業専用のビジネスローンであれば按分は不要なので、契約時に資金使途を明確にしておくことが重要です。

ビジネスローンの経費処理に必要な書類と準備

経費処理を始める前に、以下の書類を手元に揃えておいてください。

  • 金銭消費貸借契約書(借入金額・金利・返済期間の確認用)
  • 返済予定表(毎月の元金・利息の内訳が記載されたもの)
  • 利息計算書(金融機関から発行される場合)
  • 各種領収書(保証料・手数料・印紙代の支払証明)

特に重要なのが返済予定表です。毎月の返済額166,000円のうち元金が150,000円、利息が16,000円といった内訳が記載されています。この内訳をもとに元金と利息を分離して仕訳するため、手元にない場合は金融機関に再発行を依頼してください。

会計ソフトに入力する際は、返済予定表の数字をそのまま転記する形で問題ありません。事前に返済予定表をデスク横に置いておくだけで、入力作業がスムーズに進みます。

ビジネスローンの経費に使う勘定科目と仕訳方法は?借入時・返済時を徹底解説

ビジネスローンの借入時は「短期借入金」または「長期借入金」、返済時の利息は「支払利息」で仕訳します。返済期間が1年以内なら短期借入金、1年超なら長期借入金を使い分けるのが基本です。ここでは具体的な金額を使った仕訳例と、会計ソフトでの実際の入力手順を解説します。

ここでは以下を解説します。

  • 短期借入金と長期借入金の使い分け基準
  • ビジネスローン借入時の仕訳例と会計ソフト入力手順
  • ビジネスローン返済時の仕訳例と会計ソフト入力手順
  • ビジネスローンの諸費用(保証料・手数料・印紙代)の仕訳方法

短期借入金と長期借入金の使い分け基準

勘定科目の選択は「返済期間が1年以内か、1年を超えるか」で判断します。以下の比較表で違いを確認してください。

比較項目短期借入金長期借入金
返済期間1年以内1年超
貸借対照表の区分流動負債固定負債
該当するローン例つなぎ融資・季節資金・短期運転資金設備投資・長期運転資金
決算時の振替不要1年以内返済分を短期に振替
個人事業主の場合青色申告決算書「借入金」欄に記載同上(短期・長期の区分は任意)

法人で長期借入金を使っている場合、ワンイヤールール(1年基準)に基づき、決算日から1年以内に返済期限が到来する部分を「1年以内返済予定の長期借入金」として短期に振り替える処理が必要です。個人事業主の青色申告ではこの振替処理は厳密に求められないケースが多いため、短期・長期の区分だけ意識すれば問題ありません。

以下の記事では、ビジネスローンの勘定科目の使い分けについて詳しく解説しているので併せてご覧ください。

ビジネスローンの勘定科目は?個人事業主向けに仕訳方法を即答解説

ビジネスローン借入時の仕訳例と会計ソフト入力手順

2,000万円のビジネスローンを3年返済で借り入れた場合の仕訳は、以下のとおりです。

  • 借方: 普通預金 20,000,000円
  • 貸方: 長期借入金 20,000,000円

返済期間が3年(1年超)のため「長期借入金」を使用しています。6ヶ月返済であれば「短期借入金」に置き換えてください。

会計ソフトでの入力手順は次の流れで進めてください。freee会計・弥生会計・マネーフォワード クラウド会計のいずれも操作の骨格は共通です。

  1. 「振替伝票」または「取引の登録」画面を開く
  2. 日付に借入金が入金された日を入力する
  3. 借方に「普通預金」、金額に20,000,000円を入力する
  4. 貸方に「長期借入金」、金額に20,000,000円を入力する
  5. 摘要欄に「○○銀行ビジネスローン借入」と記載して登録する

口座連携を利用している場合は、入金明細に対して「長期借入金」を紐づけるだけで完了です。

ビジネスローン返済時の仕訳例と会計ソフト入力手順

毎月の返済額166,000円(うち元金150,000円・利息16,000円)の場合、仕訳は2行に分かれます。

  • 借方: 長期借入金 150,000円
  • 借方: 支払利息 16,000円
  • 貸方: 普通預金 166,000円

元金部分は負債(長期借入金)の減少として処理し、利息部分のみ「支払利息」として経費に計上する仕組みです。この利息16,000円だけが損益計算書に反映されます。

会計ソフトでは「複合仕訳」として登録してください。手順は以下のとおりです。

  1. 「振替伝票」画面を開く(freeeでは「取引の登録」→「詳細登録」)
  2. 借方1行目: 「長期借入金」150,000円
  3. 借方2行目: 「支払利息」16,000円
  4. 貸方: 「普通預金」166,000円
  5. 摘要欄に「○○銀行ビジネスローン返済 ○月分」と記載して登録する

口座連携の場合は引落明細に対して上記の複合仕訳を設定してください。毎月同じ金額であれば「定型仕訳」として登録しておくと、翌月以降は数クリックで処理が終わります。

ビジネスローンの諸費用(保証料・手数料・印紙代)の仕訳方法

ビジネスローン契約時に発生する諸費用は、それぞれ異なる勘定科目で処理してください。以下の表で整理しています。

費用項目勘定科目処理方法仕訳例(金額は一例)
保証料(1年以内)支払手数料一括で経費計上借方: 支払手数料 50,000円 / 貸方: 普通預金 50,000円
保証料(1年超)長期前払費用 → 支払手数料各年度に期間按分借入時: 借方 長期前払費用 150,000円 / 貸方 普通預金 150,000円、決算時: 借方 支払手数料 50,000円 / 貸方 長期前払費用 50,000円
事務手数料支払手数料契約時に一括経費計上借方: 支払手数料 30,000円 / 貸方: 普通預金 30,000円
印紙代租税公課契約時に一括経費計上借方: 租税公課 20,000円 / 貸方: 普通預金(または現金) 20,000円

保証料の処理で注意したいのが按分のルールです。保証期間3年・保証料150,000円の場合、1年あたり50,000円ずつ経費化する必要があります。初年度に150,000円を「長期前払費用」として資産計上し、毎年度の決算時に50,000円を「支払手数料」に振り替える流れです。たとえば3月決算の法人であれば、毎年3月の決算整理仕訳として振替を行います。

一方、保証期間が1年以内であれば一括で経費計上して構いません。契約書に記載された保証期間を確認したうえで処理方法を選んでください。

ビジネスローンの経費処理で間違いやすい3つのポイントと税務調査対策

ビジネスローンの経費処理では「元金を経費に計上してしまう」「保証料を一括で経費にする」「個人事業主の按分を忘れる」の3つが典型的な間違いです。これらのミスは税務調査で指摘されやすいポイントでもあるため、間違いの具体例とリカバリー方法、税務調査に備えるチェックリストをまとめて解説していきます。

ここでは以下を解説します。

  • ビジネスローンの経費処理でありがちな3つの間違い
  • ビジネスローンの経費に関する税務調査で聞かれるポイント
  • 決算前に確認すべきビジネスローンの経費チェックリスト

ビジネスローンの経費処理でありがちな3つの間違い

間違い1つ目は、元金返済を経費に計上してしまうケースです。毎月の返済額をそのまま「支払利息」にしてしまうと、元金部分まで経費に含まれてしまいます。返済予定表で元金と利息を分離してから仕訳してください。すでに誤って計上していた場合は、修正仕訳を入れて元金分を「長期借入金」に振り替えれば対処できます。

間違い2つ目は、複数年分の保証料を一括で経費にしてしまうケースです。保証期間が1年を超える場合は「長期前払費用(決算日から1年以内に費用化される部分は前払費用)」として資産計上し、各年度に按分する処理が正しい方法です。

決算処理前であれば、修正仕訳を入れて「長期前払費用(または前払費用)」に振り替えて対処します。すでに過去の決算・税務申告が完了している年度で誤って一括経費にしていた場合は、税理士に相談のうえ過年度の修正申告を検討する必要があります。

間違い3つ目は、個人事業主が事業割合の按分を忘れるケースです。事業用口座から返済していても、借入金の一部をプライベートで使っていた場合は按分が求められます。事業使用割合を合理的に算出し、その割合分のみを経費として計上する運用を徹底してください。

ビジネスローンの経費に関する税務調査で聞かれるポイント

税務調査でビジネスローンの経費処理について確認されるポイントは大きく3つあります。

1つ目は借入金の使途です。「この2,000万円は何に使いましたか」と聞かれたとき、事業用途であることを説明できる資料を準備しておく必要があります。設備の購入契約書や仕入先への振込記録など、使途を証明する書類を揃えておきましょう。

2つ目は利息と元金の区分です。返済予定表と帳簿の金額が一致しているかを照合されます。返済予定表を保管していれば問題なく対応できるため、紛失しないよう契約関係書類と一緒にファイリングしておくのが安心です。

3つ目は保証料の按分根拠です。複数年にわたる保証料を各年度にどう配分したのか、その計算根拠を示せるようにしてください。保証期間と年間按分額の計算過程をメモしておくだけで十分対応できます。

決算前に確認すべきビジネスローンの経費チェックリスト

決算前に以下の5項目をチェックしておけば、経費処理の漏れや誤りを未然に防げます。

チェック項目確認方法不一致時の対処
借入金残高と帳簿残高の一致金融機関の残高証明書と帳簿を照合差額分の修正仕訳を入力
支払利息の年間合計額返済予定表の利息合計と帳簿の支払利息残高を照合過不足分を追加計上または修正
保証料の按分処理長期前払費用の残高と按分スケジュールを照合未振替分を当期経費に振替
諸費用(手数料・印紙代)の計上漏れ契約時の領収書と帳簿を照合漏れがあれば追加計上
個人事業主の事業按分率事業使用割合の根拠資料と帳簿を照合按分率を見直し修正仕訳を入力

すべての項目で帳簿と証憑書類が一致していれば、税務調査で指摘を受けるリスクは大幅に低くなります。年に一度の作業なので、決算月の初めにまとめて確認する習慣をつけておくと安心です。

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ビジネスローンの経費に関するよくある質問

ビジネスローンの経費に関して、多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。

Q. ビジネスローンの繰上返済手数料は経費にできますか?

はい、繰上返済時に発生する手数料は「支払手数料」として経費に計上できます。繰上返済の実行日に一括で経費処理してください。なお、繰上返済によって支払わなくなった将来の利息分は、もともと発生していない費用のため経費には計上できません。

Q. カードローンとビジネスローンの仕訳方法は違いますか?

仕訳の構造は同じで、借入時に「借入金」、利息支払時に「支払利息」を使う点は変わりません。ただし、カードローンが個人用途の場合は事業経費に計上できない点に注意が必要です。事業用のビジネスローンのみが経費計上の対象となります。また、カードローンのキャッシングは短期利用が多いため「短期借入金」で処理するケースが一般的です。

Q. ビジネスローンの保証料は一括で経費にできますか?

保証期間が1年以内であれば一括で経費にできます。ただし、保証期間が1年を超える場合は「前払費用」として資産計上し、各年度に期間按分して経費化する処理が求められます。たとえば保証期間3年・保証料15万円なら、年間5万円ずつ3年にわたって経費化する流れです。

Q. ビジネスローンの印紙代の勘定科目は何ですか?

印紙代は「租税公課」の勘定科目で経費に計上します。借入契約書に貼付する収入印紙は、契約締結時に一括で経費処理してください。印紙税額は契約金額によって異なり、たとえば1,000万円超5,000万円以下の契約では20,000円の印紙が必要です。

Q. 個人事業主がビジネスローンの経費を確定申告で計上する方法は?

青色申告決算書の「損益計算書」にある「利子割引料」の欄に支払利息を記入します。なお「利子割引料の内訳」欄(明細欄)については、金融機関からの借入の場合、同一金融機関で複数の口座や支店から借入があっても「〇〇銀行」のように各金融機関等ごとに合計金額を記入して差し支えありません。

保証料は「支払手数料」、印紙代は「租税公課」として、青色申告決算書(または収支内訳書)の経費欄の該当科目に記載してください。白色申告の場合も「収支内訳書」の該当欄に同様の流れで記入すれば問題ありません。確定申告書の作成時に返済予定表を手元に用意しておくと、金額の転記がスムーズに進みます。

まとめ: ビジネスローンの経費処理は正しい知識で自分で完結できる

ビジネスローンの経費処理は、利息・諸費用が経費になること、元金は経費にならないことを理解すれば難しくありません。この記事で解説した勘定科目と仕訳例を参考に会計ソフトで入力し、決算前チェックリストで確認すれば、税務調査にも安心して対応できます。不明点がある場合は早めに税理士に相談することをおすすめします。

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※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。

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